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■税理士業務の公共性
税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とすることとされている(税理士法第1条)。
ところで、現在の我が国では、ほとんどの租税について申告納税制度が導入されている。この申告納税制度は、納税義務者が申告により第一次的に自己の租税債務を確定させることを本旨とするものである。したがって、納税義務者は自己の納税義務の範囲を積極的に明確にする必要があり、そのために信頼できる専門家の援助が求められることとなる。
税理士制度は、税務に関する専門家としての税理士がかかる納税義務者を援助することを通じて、その納税義務の適正な実現を達成し、よって申告納税制度の円滑・適正な運営に資することを期待されて設けられているものである。税理士業務は、このような税理士の公共的使命を果たすための公共的役割を担うものであり、社会的有用性と必要性の高い業務と位置付けられるものである。
■税理士業務の無償独占性
上記に述べたとおり、税理士業務が公共的役割を担っていることは明らかであり、また、その業務の内容は高度な専門的知識や客観的で冷静な判断が必要とされ、健全な常識と高潔な人格が求められるものである。
したがって、税理士業務を行う者には厳しい資格条件が課されており、原則的に一定の試験を合格した者等に対し、限定的に付与されるものである。
また、資格を有さない者が他人の求めに応じて税理士業務を業として行った場合には、納税者の財産権が不当に侵害されることが予想されると同時に、適正な納税義務の実現が履行されない恐れが極めて大きくなる。
そのため、税理士法第52条において、税理士及び税理士法人以外の者が税理士業務を行うことは、税理士法が特に認める場合を除いては禁止され、税理士資格に対し独占的排他性が付与されている。
さらに、税理士法第2条に規定されている「業とする」とは、判例において「反復継続の意思をもって他人の求めに応じて同条各号所定の事務を行えば足り、その他にその他人が不特定であることないしは多数であること、その事務を営利の目的をもって行ったことなどを必要としないものと解される」(昭和40年2月26日 東京高裁昭和39年(う)第1991号)と判示されており、税理士業務にかかわる事務を反復継続して行い又は反復継続して行う意思をもって行うことを指し、営利目的の有無ないし有償無償の別は問わず無資格者による税理士業務は禁止されるとの判断が明確に示されている。
いわゆる税理士業務の無償独占性の解釈である。
なお、資格者業務等に関する規制緩和推進の流れの中における今次の改正においても、税理士業務の公共的役割の重要性に対する国民の認識は変らず、その社会的有用性が今後も維持される必要性から、税理士業務の無償独占性が堅持されたものと解されるところである。
■税理士報酬の根拠
税理士は、他人の求めに応じ、租税に関し、税務代理、税務書類の作成、税務相談の事務を行うことを業とする(税理士法第2条)。
この規定には他士業の規定に見られるような「報酬を得て」との文言がなく、業務報酬請求の根拠が示されていない。現行税理士法第49条の2第2項第7号によって、報酬の最高限度額に関する規定を税理士会の会則に定めることとしており、現状、この規定を根拠として報酬を請求している。
今後、税理士報酬規定の廃止に伴い、税理士会会員にとっては、その業務報酬請求の根拠が明確にされる必要があると考えられる。
まず、商法の見地からこれを検討した場合、税理士業務は、商法第501条及び第502条に規定する商行為に該当するものではなく、更には、「業とする」の解釈についても、医師、弁護士、税理士等のいわゆる自由職業者が業として反復継続してなす行為は、たとえ本人が主観的に営利の目的をもって行うとしても、現在の一般社会通念においては、その営利は従たる目的にすぎず、営業行為とは認められないものと解されている。したがって、これらの者は法律上、商人とはならないものであり、税理士が行う税理士業務に関する報酬については、商法第512条に規定される商人の商行為に基づく報酬請求権は発生しないと理解されるところである。
次に、民法の見地から検討した場合、税理士法第2条の「他人の求めに応じて〜(中略)〜事務を行う」とは、その業務の性質上、民法第643条に規定する法律行為の委任及び民法第656条に規定する事実行為の委託(準委任)に基づく事務を行うものと解される。
この場合、民法の委任に関する規定は準委任の規定に準用されるところから、委任等に係わる事務に対する報酬については、民法第648条第1項の「受任者ハ特約アルニ非サレハ委任者ニ対シテ報酬ヲ請求スルコトヲ得ス」との原則無償の規定が働くこととなる。
では、特約がなかった場合には、報酬の請求権は成立しないのであろうか。民法第92条は「法令中ノ公ノ秩序ニ関セサル規定二異ナリタル慣習アル場合二於テ法律行為ノ当事者力之ニ依ル意思ヲ有セルモノト認ムヘキトキハ其慣習二従フ」と規定し、契約での当事者が定めていない事柄の解釈について示している。
これによれば、契約(法律行為)の解釈においては、当事者が反対の意思を表示してない限り、まず慣習が適用されるとの説が一般的である。したがって、税理士、弁護士等、委任事務を処理して報酬を受けることが慣行になっている職業の場合には、委任等の契約がなされた際、特に報酬を支払う旨の明示がなくても、慣行に基づく合意があったものと解され、当然、業務に対する相当な報酬の支払を受けることができるものとされている。
この考え方については、弁護士や税理士の業務報酬に関する現在までの判例でも多数採用されており、業務の委任の際に報酬に関する事項の明示がなくても、当然に当事者間においては報酬に関する「黙示の合意」があるものとする判断が判示されていることからも、一般的な解釈と考えられるものである。
これらのことから、税理士の業務報酬については、事実たる慣習に基づく合意(黙示)を根拠とする報酬請求権の成立が通説と解されるところである。
なお、委任及び準委任以外の業務については、民法第632条の請負の規定等が適用されると考えられ、これらの場合には有償契約が前提となるので、特に、報酬の根拠については触れないこととする。
に対する指導・監督権限の一機能を担うものとして運用されてきたところである。
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