税理士報酬ガイドライン−業務と報酬の契約形態と請求

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業務と報酬の契約形態と請求

 報酬の適正な基準額を基にして、業務に関し報酬を請求する場合にも、その契約・請求形態には様々なものが考えられる。税理士の業務には継続的なもの、臨時的なもの、複数の業務が関連しているもの、単独のものなど形態が様々である。したがって、単一の契約・請求形態をとることは困難であろう。
 そこで以下考えられる契約・請求形態を「基本的報酬形態」と「付加的報酬形態」に分け、業務内容の例示とともに述べることとしたい。

基本的報酬形態
(1)固定額方式
 「固定額方式」とは、あらかじめ想定した業務量を基に報酬金額を固定しておく契約形態である。従来より固定額方式の税理士顧問契約が一般的であったと思われる。複合した業務が定常的に起こる事業者、法人などに対しては、委嘱する納税者にとっても簡素で望ましい形態であろう。
@包括固定額報酬方式
 法人、個人事業者など継続的に税務業務が生じる顧客を対象としたいわゆる税理士顧問契約には、従来より税務代理報酬と税務相談報酬を包括する固定額報酬契約が一般的であった。もっとも包括する範囲は合意により自由に決めることができる。
 年総額を決める形式と月次報酬額を定め、決算申告時の報酬を別途定める形式もある。
 法人税、消費税、法人事業税など基幹的税務のほか、源泉所得税までを含み固定額を契約することが多いであろう。会計業務も合わせて契約することも少なくないものと思われる。
 この契約形態においては、受託業務の範囲を明確にしておくことが重要である。調査立会報酬、年末調整業務、社会保険労務士業務など付随的業務については、この固定額報酬契約に含まれるのか、別途請求すべき業務となるのかを明確にしておくことが望ましい。
A業務別固定額報酬方式
 先に述べた包括的固定額報酬方式と対比される形態として、個別の業務を明確にしながら、固定額報酬として契約する方式がある。
 相続税申告業務を一括して固定額報酬で受任するような契約形態である。異議申立、審査請求業務などでもこのような業務別固定報酬契約が採られることもあろう。

(2)従量額方式
 「従量額方式」とは、作業量に応じて報酬金額が変動することを約してする方式である。作業量の指標としては、税理士サイドの投下業務時間数、日数、また業務の対象である伝票枚数、調査対象である不動産物件数などを基準にする形態と成果物である書類点数等を基準とする場合、また、委嘱者サイドの所得額、取引金額、税額など業務対象の多寡を基準におくことも考えられよう。
@業務時間基準方式
 業務時間の時間あたり報酬単価を定めておき、その業務に携わった時間数を乗じて請求報酬額を算定する方式である。時間単位のほか、日数(又は半日単位)によること(日当方式)も考えられよう。
 専門家である税理士の業務時間数を基準とすることも、事務所職員を含めた事務所全体としての稼働時間数を基準と採ることもできよう。また、事務所職員の習熟度に応じて業務従事職員ごとに基準額に差を設けることも考えられる。
 税務相談に対する報酬は、その内容が事前に推し量れないので、基本的に時間単位によることになろう。調査立会報酬を日数に応じて算定することも合理的である。添付書面作成及び意見の聴取(税理士法第33条の2)に係る報酬、また異議申立書、審査請求書等の作成、訴訟補佐人などの権利救済業務に対する報酬も時間を基礎に算定することができる。また、相続税、贈与税及び譲渡所得税の申告に対する報酬、物納申請に対する報酬について、業務時間を基準とする方式を採ることもできる。
A業務件数基準方式
 会計業務報酬を処理すべき伝票枚数あるいは仕訳件数を基準として請求報酬額を算定することも考えられる。給与計算業務、年末調整業務を対象人数に応じて算出することも合理的であろう。物納申請を対象物件数で算定することも考えられる。
 この場合には、業務量を示す合理的な対象を選定することに留意したい。
B外形指標方式
 税理士の業務の多くは、経験上、業務対象の外形的な大きさによって業務量が左右されると考えられる。
 委嘱納税者の事業に関する業務については、その年間取引高、資本金額、利益金額、従業員人数等の事業規模を示すものを外形指標としたり、相続税事案に関し相続財産総額、法定相続人人数等を外形的指標として、報酬金額とする方式が考えられる。
 また、訴訟における補佐人業務は関与弁護士の報酬を基礎として税理士の報酬を算定することも考えられよう。

(3)固定額・従量額ミックス方式
 報酬算定方式としては、固定額方式と従量額方式が基本であるが、現実の業務実態を考えれば、固定的な一定額を「基本報酬」と定め、業務量に応じた従量額を加算して報酬とする方式が適する場合が多いであろう。
 税務申告代理に当たって、一件当たりの「基本報酬」を定め、その上で委嘱納税者の事業規模、相続税においては相続財産総額に応じた額を加算して報酬金額を定めることが考えられる。
 こうした場合、その「基本報酬」には一定の範囲内の業務が含まれると考えられるから、その範囲はあらかじめ明確にしておくべきであろう。納税額のいかんに関わらず申告代理・税務書類の作成業務に着手したら、当然なされる基礎的聴取・事実の収集等がこの「基本報酬」に対応するものであろう。

付加的報酬形態
(1)難易度加算
 事案によっては、特に調査研究を必要としたり、外部専門家の協力を要する場合も考えられる。また、期限間近で合理的な処理日数を確保し難い場合もある。こうした様々な要因を考慮して、委嘱納税者の了解を得て本来の基本的報酬形態で算定する報酬額に加算することは可能であろう。
(2)出張報酬、旅費交通費
 本来、税理士の業務はその事務所で行われることが基本であり、特に業務のため出張した場合の出張手当を定め報酬として出張報酬を請求することもできる。その際、必要な旅費交通費・宿泊費も請求できよう。
(3)外注費用及び実費
 鑑定、資料の翻訳、調査等を外部の者に委嘱せざるを得ない場合もある。このように外部に依頼することで発生する費用は、委嘱者の了解のもと、本来の報酬に加算して請求できるものと考えられる。
 また、本来の報酬ではないが、受任業務のために特に要した実費費用を実費精算として報酬に加え請求できることは、当然である。ただし、特に要した費用の請求については、事前に定めておくことが望ましい。

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